令和7年度経営支援事例発表全国大会 青柳孝経営指導員が日本一に
令和7年12月4日(木)、リーガロイヤルホテル京都にて開催された「令和7年度経営支援事例発表全国大会」(主催:全国商工会職員協議会)において、東北ブロック代表として出場した石川町商工会の青柳孝経営指導員が、見事全国最優秀賞に輝きました。

青柳指導員が発表したのは、「世界へ翔く色彩ある壁紙の開発 〜後継者の成長が会社の危機を乗り越える〜」と題した、1963年創業の壁紙製造会社、
株式会社松竹工芸社への7年間にわたる伴走支援事例です。
支援の概要と成功への道筋
松竹工芸社は、会津桐などの自然素材を活かした壁紙製造に強みを持つ一方、大手メーカー依存、原材料高騰、海外模倣品の台頭により、売上が横ばいで利益が薄くなるという厳しい状況に直面していました。特に商品別の製造原価が把握できていないことが大きな課題でした。
青柳指導員は、後継者である太一さんが家業に入ったことを機に支援をスタート。太一さんを含む支援チームを組み、「ロカベン」等の診断ツールを活用しながら、以下の主要な課題解決を伴走しました。
1.製造原価の把握と生産性向上:中小企業大学校で学んだ「理論製造原価」の分析を提案し、商品別原価を明確化。さらに「ものづくり補助金」を活用してNCルーターを導入し、ボトルネックだったうち抜き工程を改善、生産性を8倍に向上させました。
2.独自の販路開拓と後継者の成長:メーカー依存から脱却するため、建築家や設計士が来場する国際見本市IFFTへの出展を支援。太一さんは積 極的な対話を通じて初めての商談で大型成約を結び、販売力を高めました。
3.コロナ危機をチャンスへ:コロナ禍で売上が60%以上減少した際、暫定リスケ(借入金返済の一時停止)を提案し、経営改善計画の策定を支援。太一さんはこの期間を使い、事業再構築補助金を活用して技術的に難しかった桐材の染色工法を確立。世界基準の不燃認定を取得した「色彩ある壁紙」の開発に成功しました。
定量的な成果
•売上高は支援前の水準と比較し40%増を達成。
•利益は、支援前の利益より4倍取れる企業体質へと変貌。
開発された色彩ある壁紙は「ふくしま産業賞」特別賞を受賞し、世界的ブランドのショップの壁紙として採用されるなど、新たな市場を開拓しました。社長からは「商工会がなければ今の会社はない」との感謝の言葉が寄せられています。
この事例は、個別企業への経営改善・経営発達の支援につながった好事例として、全国8ブロックの代表の中から最優秀賞に選ばれました。


